C塩抜き ベーコン(豚バラ燻製)

ベーコン(豚バラ燻製)

せっかくベーコンを自作するんだから、スーパーに売っているようなペラペラ10枚入り
みたいのじゃなくて、ズッシリ重量感のある塊を作ってみたいと思ったことあるでしょ?
僕はお店でも売っていないようなものを自作するところに燻製作りのロマンを感じています。
仮にこんな大きなベーコンが売っていたとしても、絶対高いので買いませんけど・・・。
そういうことでベーコンはいつも2kg前後の豚バラ肉を使うようにしています。
今回は約2.5kgの豚バラ肉で作りました。

・・・美味でした。

C塩抜き

この塩抜き次第で燻製の味を決定してしまうくらい、大切な工程です。
・・・でも「塩漬けした後、なんでわざわざ塩抜きをしないといけないの?」とは思いませんか?
「それじゃ、塩の量を減らして塩漬けすれば塩抜きをしなくてもいいじゃん!」
これは以前、僕が思っていたことです。
でも塩の量を減らして塩漬けすると、均一に浸み込まず、塩味にムラが出来るらしいのです。
だから多目の塩に漬けた後、水に浸して塩を抜いたほうが均等な塩味が付くということです。
そういうことで塩抜きの方法をネットで調べると・・・
ほとんどのサイトに「水に浸して、流水で2〜3時間・・・」と同じように書かれています。
(このサイト内の『燻製作りの基礎知識』にある 『塩抜きの方法』にも同じよに書きました。)
でも、流水じゃ水がもったいない気もしますよね?
それに流水じゃなければ一晩水に浸けたまま寝てられそうでしょ?
だけど寝ているのに、2〜3時間後にチェックするのは面倒ですよね?
そう思って下記の方法を試してみました。時間がかかっても寝ていられるならいいや、と思える人は参考にしてください。

雑菌の繁殖には十分注意しましょう。


水に浸けて塩抜きをすると、肉内部からしみ出た塩分は真水よりも重いので、容器の下に沈んで溜まるはずです。(塩分の濃度分布の推移を測定した結果ではありません。)
それなら水面近くに肉があれば、流水でなくても常に塩分の低い水に包まれて、塩抜きは出来るのでは?と思い、今回の方法を試しました。
塩抜き1 ポリ袋の空気抜きにも使った45リットルのポリバケツを使います。
スモークに使う網2枚をVの字になるように立てて入れ、網の上10cmくらいまで水を入れます。
水の動きを阻害せず、肉を水面近くで保持できるものなら、網でなくても問題ないはずです。

塩抜き2 Vの字の網の上に肉を乗せます。

塩抜き3 肉が完全に水に浸かっているか確認し、水が少ないようなら追加します。 このまま一晩(約10時間)塩抜きしました。
根拠はないまま一晩水に浸けておきましたが、塩抜きはバッチリでした。

塩抜き完了は、実際に食べて判断しましょう。
肉の端を切り取りフライパンで焼いて食べてみて、少し薄く感じられるくらいがベターだと思います。
この段階で少し塩辛いかな?と思うようなら、さらに塩抜きを続けてください。
そのまま燻煙を始めると完成したときは、水分が減っているのでさらに塩辛くなります。

塩抜き その2

呼び塩とは
漬物など塩漬けされた食材の塩抜きには「呼び塩」という方法があります。
真水ではなく、薄い食塩水に漬す方法です。これは食材の外と中の塩分濃度を均一にするという作用を利用したもので、塩分だけを食材から抜くことが出来るらしいです。
この「呼び塩」を試してみようと思ってやったのがこの『塩抜き その2』です。
その方法は、薄い食塩水に浸すのではなく、容器の底付近に肉を保持したら浸み出た塩分が呼び塩の役目を果たすのでは?というものです。

塩抜き4 このザルの高さで肉を保持します。10cmくらいだと思います。

塩抜き6 45リットルのポリバケツを用意して、水を入れました。
そこに肉を入れ、こんな感じで底付近に保持しました。
いつも通り、このまま一晩(約10時間)塩抜きしました。

呼び塩効果を期待しましたが、10時間経過した時にはまだ塩辛い状態でした。
その後も塩抜きを続けながら2〜3時間おきに端を焼いて食べましたが、結局約20時間かかりました。
これでも呼び塩の効果はあったのかもしれませんが、これだけ時間がかかるといくら真冬だとしても雑菌の繁殖が心配になるので、このサイズのブロック肉には実用的ではないと判断しました。
ポリバケツの大きさや水の量や温度、肉の大きさや厚み、肉刺しで出来た穴の数や深さなど塩抜きの時間を決める要素は色々ありますが、この結果は僕の持つ道具で約2kgの豚バラ肉をいつもの仕込みをして得られた結果です。
要するに塩抜きの時間を決めるには、不確定要素が数多くあるので、経験や勘に頼るべきことが多いと言うことだと思います。僕の住む熊本市と北海道とでは、同じ材料や道具、工程でも結果が違ってくるのでしょう。
これらの結果が次回以降の塩抜き時間の根拠になります。こういう小さい経験の積み重ねで勘も養われると期待して、より良い燻製を作ることを目指しています。